皆さんは、1年間のデータで「人間の命を最も奪っている動物」をご存じでしょうか?
答えは「蚊」です。
今回は、「日本も無関係ではない蚊の恐怖」
についてご紹介します。
人間の命を奪った動物とは?
1年の間に最も人間の命を奪った動物は、「蚊(マラリア・デング熱)」で、WHOなどの統計では72万5千人が犠牲になっています。
そして、残念なことですが2番目に人の命を奪っているのは「人間」でした。(47万5千人)
ただ、問題は3位の「蛇」の犠牲者が5万人にまで減っている点です。
- 4位:犬(狂犬病→東南アジア・アフリカ)-2万5千人
- 5位:ツエツエバエ(睡眠病→アフリカに多い)-1万人
- 6位:サシガメ(ラテンアメリカに多い昆虫)-1万人
- 7位:淡水カタツムリ-1万人
→ちなみに、「ワニ」は10位-1,000人となっています。
毎年、これだけの人がそれぞれの原因で亡くなっていますが、私達が最も気をつけるべき動物は「蚊」と「人間」という結果になっています。
とはいえ、日本で紛争や戦争はありませんし、テロの脅威はありますが今のところ大きな事件は起こっていないと考えられます。
そもそも、人間相手に私達個人では防犯対策はできますが、それ以外はどうにもできないのではないでしょうか?
→殺伐とした世の中は嫌ですよね・・・
それでは、「蚊」の被害についてはどうなっているのでしょうか?
「蚊」による被害
日本での「蚊媒介感染症」はどうなっているの?
「蚊媒介感染症」というのは、病原体を保有する蚊に刺されることで引き起こされる感染症
のことです。
つまり、全ての蚊が感染症を媒介するわけではありません。
さて、そんな蚊媒介感染症には「ウイルス疾患」と「原虫疾患」があります。
ウイルス疾患
- デング熱
- チクングニア熱
- ジカウイルス感染症
- 日本脳炎
- ウエストナイル熱
- 高熱
原虫疾患
- マラリア
さて、聞いたことがある疾患が多いのではないでしょうか?
ただこれらの感染症は、そもそも熱帯・亜熱帯地域で流行しています。
それでは、日本の蚊媒介感染症による被害状況はどのようになっているのでしょうか?
厚生労働のホームページを確認するとこのようになっています。
日本の蚊媒介感染症
日本で「蚊媒介感染症」といえば、これまで日本脳炎が主流でした。
とはいえ、日本脳炎にはワクチンがあり標準では3歳2回・4歳1回・9歳1回の合計4回の接種が定められています。
つまり、普通に子育てをしていれば、子ども達は予防接種を受けていることになります。
⇒かくいう4歳になった息子も、すでに2回の日本脳炎の予防接種が終了しています。
日本脳炎は怖い感染症!
ちなみに、日本脳炎は感染してもほとんどの人は症状がありませんが、100~1,000人に1人程度が脳炎を発症してしまう感染症です。
しかも、発症してしまうと約20~40%の人が亡くなり、命を取り留めたとしても多くの人(45~70%)が神経の後遺症(脳障害)を残す病気
でもあります。
つまり、発症してしまうと多くの人が無事ではすまない感染症です。
こういった事情から、日本では予防接種が実施されています。(日本脳炎の罹患リスクを75~95%減らすことができるとされている)
それでは、日本脳炎以外の蚊媒介感染症の患者さんはどうなっていると思いますか?
実は、これまで「日本脳炎以外の蚊媒介感染症」といえば、輸入感染症が主流になっていました。
つまり、日本国内においては、日本脳炎以外はそれほど警戒する必要がありませんでした。
*日本脳炎の感染者:(年間10人程度)
こういった事情もあり、蚊を怖がる人を日本でほとんど見たことがないのではないでしょうか?
→日本脳炎のワクチンもあることから、日本人にとっての「蚊」は、「血を吸う・痒み・耳元でうるさい虫」というぐらいの認識ですよね・・・
ところが、2014年に日本でもデング熱が発見されました。
⇒「デング熱」については、こちらの記事で紹介しています。
さて、そんなデング熱は2014年以降は、2016年に海外から帰国した方がデング出血熱を発症し死亡する事例がありました。
ただ、これはあくまでも国外から帰ってきた人の感染例(年間200例以上)でした。
ところが、2019年10月には海外渡航歴がないにも関わらずデング熱を発症した患者さんが確認されました。
このように、少しずつ蚊媒介感染症が身近に迫っているのかもしれません。
とはいえ、「虫除け剤」や「肌の露出を避ける」ことで、蚊に刺されることを予防することができます。
また、幼虫が発生しやすい放置された空き瓶など、水たまりができそうな物は撤去したり、成虫が潜む下草を刈ったりといった対策も有効な方法です。
*植木鉢の皿も水たまりになるため、放置しないようにご注意下さい。
最後に
蚊媒介感染症の被害の多くは、確かに国外の方が圧倒的に多いことが現状です。
ただ、そんな蚊媒介感染症は日本でも事例が散見されています。
また、国外へ以前のように行くことができるようになれば、注意が必要になりますが、これはなにも蚊媒介感染症に限った話しではありません。
例えば、エボラ出血熱はオオコウモリが宿主と考えられていますが、2014年に西アフリカで流行しています。
さて、エボラ出血熱は「空気感染」や「飛沫感染」で拡がる可能性はなく、患者さんに直接触れなければ感染しません。
今は、アフリカに限定されているエボラ出血熱ですが、例えば米国のように輸入感染事例が確認されてしまう可能性があります。
今回の新型コロナウイルスについても同じことが言えますが、感染症は正しく怖がる必要があります。
そして、蚊媒介感染症についてはこれからも注意が必要になるでしょう。
2014年で代々木公園で発生したデング熱のようなことが今後、当たり前になっていくようになれば、蚊に対する私達のイメージは大きく変わっていくでしょう。
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