スプレー缶が爆発? 放置して起こるのは破裂であって爆発じゃない!?

 

この記事では、スプレー缶の破裂と爆発について紹介しています。

連日の暑さで、エアコンが必須な毎日が続いていますが・・・

とはいえ、いつも快適な屋内で過ごせるわけではないですよね。

そんな時に役に立つのが、瞬時に体を冷やしてくれる冷却スプレー缶です。

ただ、使い方を間違えるととんでもないことになります。

今回は、「冷却スプレー缶で車が爆発!?」についてご紹介します。

 

そもそも「スプレー缶」ってなに?

私達の周りには、冷却スプレー以外にも「消臭スプレー」・「ヘアスプレー」・「殺虫スプレー」・「塗料スプレー」など、さまざまなスプレー缶がありますよね。

そして、そんな便利なスプレー缶の正式名称は「エアゾール(缶)」と呼ばれます。

エアゾール(エアロゾル)については、一般高圧ガス保安規則で規定されていて、霧や雲、煙などの微細な粒子が空気中に多数浮遊している状態を「エアロゾル」と言います。

 

さて、そんなスプレー缶には可燃性ガスの使用が主流になっています。

ちなみに、以前は不燃性のフロン類が使用されていましたが、「フロン」と言えばオゾン層の破壊で有名ですよね・・・

→1987年にカナダで採択された「モントリオール議定書」にのっとり、先進国においてはフロン類は使用されなくなった。

こういった事情もあり、スプレー缶では可燃性ガスが主流になっています。

 

スプレー缶は爆発しない?

例えば、2018年にアパマンショップが入居しているビルが爆発した事故が記憶に新しいのではないでしょうか?

この事故では、52名が負傷する大惨事となりました。

この事故は、「除菌消臭スプレー缶を大量に廃棄処分するために缶に穴をあけていたところ噴出したスプレーが発火し爆発した」ことが原因とされています。

さて、こういったニュースを見るとまるで「放置したスプレー缶が爆発する?」と誤解してしまいそうになりますが、スプレー缶自体は破裂することはあっても爆発することはありません。

と言うのも、実はスプレー缶には噴出剤である可燃性の液化ガスが入っていますが、酸素はスプレー缶内には入っていないためです。

とはいえ、破裂に関して言えば、例えば「使用中の暖房器具の前」や「真夏の車内への放置」などで、噴出剤の液化ガスが気化した部分の圧力が上昇。

その圧力に耐えられなくなった缶が、破裂するという事故が発生しています。

つまり、スプレー缶の爆発は放置ではなく、誤った使い方により引き起こされています。

それでは、本題の冷却スプレー缶を使用したことでなぜ自動車が爆発したのでしょうか?

vainodesositis / Pixabay

 

冷却スプレーで自動車が爆発・・・?

先程もお伝えしたように、スプレー缶はそのままでは爆発しません。

とはいえ、放置することで破裂することはあるため、保管場所に注意する必要があることは言うまでもありません。

それでは、どうして爆発しないはずのスプレー缶が車内で爆発してしまったのでしょうか?

 

実は、JAFでも冷却スプレー缶の危険性は指摘されている!

JAFでも、冷却スプレーの使い方について注意喚起がされていますが、先程もお伝えしたようにスプレー缶には可燃性のガスが使用されています。

つまり、「スプレー缶を使う」と言うことは外に可燃性のガスを撒いていることと同じです。そのため、使用時は火気厳禁が原則になっています。

それでは、冷却スプレー缶の使用時だけに注意すればいいのでしょうか?

 

使用後も注意が必要!

そもそもの話しになりますが、この可燃性ガスにはいくつかの特徴があります。

  1. 可燃性ガスは空気よりも重い(車内の下方に一定時間滞留する)
  2. 衣類の内部に入り込みやすい
  3. 衣類の繊維内に残りやすい

つまり、スプレー缶の使用中はもちろんですがむしろ使用後に注意が必要なことが分かっています。

実際、JAFでは「可燃性ガスが衣類に残った状態で、車内でタバコを吸うためにライターで火をつけるとガスに引火してしまった」という爆発事故が報告されています。

そのため、冷却スプレー缶などを車内で使った後は・・・

火気を取り扱う場合は、車内のエアコンを外気導入モードにしつつ、窓を開け放った状態で走行し車内の空気を入れ換える

ことが必須になります。

 

特に夏場は、車内を閉め切った状態になりやすいためスプレー缶の使用には十分に注意する必要があります。

また、真夏の炎天下では車内は60度を超えてしまいます。

車内の温度が40度以上になるような場所には放置すると危険のため、そもそも車内にスプレー缶はおかないようにして下さいね。

 

車内の暑さについては、こちらの記事で紹介しています。

炎天下の車内でダニも駆除! それってどういう意味?

 

最後に

スプレー缶の爆発事故は、なにも車内だけの話しではありません。また、使用中にだけ注意すればいいわけでもありません。

むしろ、しっかりと換気するなど使用後の方が注意が必要だと言えるでしょう。

また、「火気」は直接「火」を使ったことで引火するとは限りません。

 

東京くらしWebでは、以下のような事例が紹介されています。

学校でシュレッダーにエアダスターを吹き付けたところ、爆発を伴う火災が発生し、1名が負傷した。含まれていた可燃性ガスが当該製品内部に滞留し、スイッチ等の電装部の火花が可燃性ガスに引火し、爆発したものと推定される。(平成29年6月)

つまり、直接「火」を使わなくても電化製品のスイッチ等を操作することで引火する場合まであります。

 

もちろん台所でも・・・

殺虫剤を台所で使ったところコンロの火に燃え移り顔と腕に火傷をした。(平成28年5月)

という事故も発生しています。

くれぐれも、スプレー缶の誤使用にはご注意下さい。

特に、子ども達がイタズラで遊ばないようにしないと、思わぬ爆発事故に巻き込まれるかもしれません。


参考

産業保安ポータルサイト「さんぽのひろば」:スプレー缶−そのしくみと危険、注意点をもう一度考える−
https://sanpo.aist-riss.jp/riscadnews/2020/09/p6827/

 

 

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