肉や魚の赤い液体は血液じゃない!? 冷蔵庫解凍が最適!

 

●この記事では、赤い液体と冷蔵庫解凍についてお伝えしています。

 

肉や魚を購入するときに、赤い液体がトレイに流れ出ていることがありますよね。

一見すると、「血が染みている!?」と考えるかもしれません。

それでは、この赤い液体の正体は本当に血なのでしょうか?

今回は、「赤い液体の正体」についてご紹介します。

 

赤い液体は肉そのものの水分!

最初に結論からいえば、この赤い液体は血液ではなく水分です。

そもそも、屠畜とちく段階で血を抜いてしまう「放血ほうけつ」と呼ばれる工程があるためです。もしも、この放血がうまく行かなければ鮮度が落ちてし傷む原因にもなります。

これは、肉だけでなく、例えば魚でも血抜きが行われていることをご存じの方も多いのではないでしょうか?

つまり、私達消費者の手元に届く前に血液は取り除かれているため、赤い液体はほぼ血でないことになります。

ちなみに、鶏の手羽元などを焼いていると「鶏肉から血が出ている?」なんて思うことがあると思いますが、これも血ではありません。

→肉や魚の市販されているものからでてくる赤い液体は血液ではない!

Viscious-Speed / Pixabay

それでは、この赤い液体はなんなのでしょうか?

 

赤い液体の正体は?

一度は聞いたことがある人が多いと思いますが、この赤い液体の正体は一般的に「ドリップ」と呼ばれるものです。

とはいえ、正確には・・・

  • 解凍したときに出る液体・・・「ドリップ」
  • 冷蔵した物からでる液体・・・「ウィープ」

と呼ばれます。

そして、この液体は鮮度が新しい物であれば、「薄いピンク色」の液体か、「ほぼ無色」になります。

気を付ける点としては、例えば牛肉などでは品質が悪化(腐りかけ)すると、赤黒い液体が出るようになるため、破棄する必要があります。

このように、ドリップの色で品質の目安を知ることもできます。

 

ドリップは旨味成分も含まれる!?

そもそも、ドリップは血液ではなく「肉の水分」であることをお伝えしてきました。

ただ、このドリップには旨味成分や栄養素も含まれています。早い話、このドリップが多く流れてしまうほど肉がパサつき、おいしくなくなる原因にもなります。

さて、一般的にお肉は小分けにして冷凍保存し、魚も使わない分は冷凍保存するのではないでしょうか?

 

ですが、そもそも食材を冷凍保存してしまうと・・・

  • 細胞一つ一つに入っている水分が凍る
  • 水分は凍ると体積が増える(膨張する)
  • 急激に解凍すると、溶けた肉の細胞が硬い氷で傷付く
  • 細胞が壊れる

→ドリップが出てしまう。

つまり、ドリップの量を減らそうと思えば、少しずつ解凍していかなくてはいけません。そのため、冷蔵庫を使えばドリップの量を減らすことができます。

 

冷蔵庫解凍にかかる時間の目安は?

「秋川牧園」さんでは、冷蔵庫による解凍時間を実際に測った結果が紹介されていました。

 

解凍時間の目安

  • 鶏ミンチ・・・約3.5時間
  • 鶏モモ肉・・・約7.5時間
  • 鶏ムネ肉・・・約8.0時間

  • 黒豚ロースカツ用・・・約5.5時間
  • 黒豚細切れ   ・・・約4.0時間

私の場合は、「細切れ肉」をよく使うため、冷蔵庫で解凍しようと思えば少なくとも調理を開始する4時間前には解凍を始めなくてはいけないことになります。

逆に言えば、夕食に冷凍お肉を使う場合は、仕事に行く前に使う分を冷蔵庫に移してから行けばいいでしょう。

このように、「ミンチ」や「細切れ」であっても4時間近くは冷蔵庫での解凍には時間がかかります。

ですが、余裕をもって解凍できればドリップも少なくなり、いつもと同じお肉がいつもよりおいしく食べられるでしょう。

Shutterbug75 / Pixabay

 

野菜や果物も例外ではない!

ところで、冷凍野菜を購入する人も多いのではないでしょうか?

さて、野菜や果物であっても肉や魚と同様に冷凍すると植物細胞の内外に氷結晶ができてしまい、細胞膜が破れることになります。

その結果、野菜や果物も組織内の水分を維持する能力が失われ、解凍すると水分がドリップとして流れ出ることになります。

当然、肉質や食感が悪くなるだけでなく栄養成分も失われていきます。

ただ、UCCによれば野菜の場合は凍ったまま調理した方が食材のダメージを少なくできるようです。

とはいえ、解凍の方法は「冷蔵庫解凍」だけではありません。

室温解凍・流水解凍・氷水解凍など解凍の方法はいくつもあるため、どれが間違っているというものでもありません。

そもそも、冷蔵庫解凍が向かない食品もあります。

 

冷蔵庫解凍に向かない食品!?

そもそも、冷蔵庫解凍は大半の冷凍品を状態良く解凍できるため、多くの食品の解凍方法として使用することができます。

この点は、間違っていません。

ただ、冷蔵庫解凍の場合、食品の温度はマイナス5度~マイナス1度に長くとどまることになります。

実は、この温度帯では食品内にできた氷結晶が大きくなってしまうことで大きくなった氷結晶が・・・

  • 食品の組織にダメージを与える
  • 食品によっては氷結晶でできた穴がそのまま残る

こういったことが引き起こされることがあります。

 

具体的には・・・

  1. 生食をする食品(刺身など)
  2. ゲル状の食品(こんにゃく・豆腐・かまぼこ・寒天・ゼラチンなど)

こういった食品は冷蔵庫解凍をしてしまうと食感が悪くなることもあるため、避けた方がいいでしょう。

*炭水化物が含まれた食品も、冷蔵庫解凍を行うとデンプンが老化し、パサパサになってしまうことがある。

とはいえ、例えばゲル状の食品であっても含まれている成分によっては、冷蔵庫解凍でも問題ない食品もあるため、メーカー推奨の解凍方法に従うことが大前提になります。

 

最後に

今回は、肉や魚から出てくる赤い液体「ドリップ」についてご紹介しました。

そもそも、ドリップはその食品のおいしさに影響するため、どれだけ出てくる量を減らせるかでおいしさが変わってきます。

ただ、冷蔵庫解凍はとても時間がかかってしまうため、慣れるまではうまくいかないこともあるでしょう・・・

ただ、解凍が不十分でも調理には使えるため、そこまで神経質にならなくてもいいかもしれません。

あとは、食中毒に気を付けて安全に調理して下さいね。

 

「食中毒」については、こちらの記事で紹介しています。

ヒスタミン食中毒は子どもが要注意! 調理中に気をつけることは?


参考

創業100年牛肉博士:牛肉の赤黒い汁の正体とは一体何!?肉のプロが解説します!
https://xn--11xm61a.top/5914/

ミートガイ
https://www.themeatguy.jp/ja/cookingstudio/recipe/56_thawing

おいしい冷凍研究所
https://frozen-lab.eda-mame.jp/basics/refrigerator-thawing

 

 

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