皆さんは、「生肉をつかんだお箸で、焼いた肉を食べてはいけない!」と、なぜ言われるかご存じでしょうか?
今回は、「生肉がどれだけ危険か」について食中毒の視点からご紹介します。
生肉の食中毒?
生肉の食中毒といえば、「カンビロバクター」や「O-157」などさまざまな食中毒菌が存在しています。
ポイント!
①「生肉の食中毒」といっても1種類ではなく、さまざまな食中毒菌が繁殖している可能性がある!
カンビロバクター
家畜や家禽(かきん:鳥類に属する家畜)の腸管に存在しています。特に、鶏の保菌率が高く、ペットからも検出されます。
→保菌動物から汚染された食品(特に鶏肉)や水が原因。
- 潜伏期間:多くは2~5日
- 主な症状:腹痛・下痢・発熱(37~28℃)
腸管出血性大腸菌O157
牛の消化管に存在することがあります。そして、牛肉の処理・加工・調理の際に感染が起こり加熱不足のハンバーグ・生レバー・ユッケなどが原因になりやすい。
- 潜伏期間:多くは2~7日
- 腹痛・下痢・血便
サルモネラ菌
家畜・家禽・ペット類の腸管に高い確率で存在しています。
→汚染された卵・生肉または、これらを利用して作られた加熱不足の加工品や保菌者による二次感染が原因。
- 潜伏機関:多くは、12~48時間
- 主な症状:腹痛・下痢・発熱(38~40℃)
E型肝炎ウイルス
E型肝炎ウイルスに汚染された食べ物(生肉・レバー)・水などを摂取することで感染します。(日本では、2003年に野生シカ肉から人へのE型肝炎ウイルスの感染が証明されている)
→野生のシカ・イノシシ・豚などの刺身や生焼けの肉を食べることで発生している。
- 潜伏期間:2~9週間(平均6週間)
- 発熱・悪心・腹痛・肝腫大・肝機能の悪化
②細菌により、潜伏期間が違う!
そもそも、「潜伏期間」というのは病原体が生体に侵入してから発症するまでの期間のことです。
上記で紹介した細菌の潜伏期間を見れば分かるように、発症するまでに1日・2日と短期間で発症する細菌もいれば、約1~2ヶ月と長期間経って発症する細菌もあります。
③市販品であっても、細菌が付着している確率が高い。
市販されている鶏レバーの57.8%・鶏肉の48.4%から、カンビロバクターが検出されている。(埼玉県衛生研究所調べ)
つまり、牛・豚・鶏などの動物は健康であっても、そもそも身体の中には人に対して食中毒を引き起こす細菌が潜んでいます。
これは、例えば食中毒の原因の1つとなる黄色ブドウ球菌が、人の常在菌として存在していることと同じです。
さて、こういった細菌などはもともとレバー(肝臓)のなかに存在していて共存しています。つまり、人間も含めて動物に細菌が存在しているのは当たり前の状態だったりします。
そのため、食肉を処理する過程で肉に付いてしまうことも当然あります。
→肉の鮮度は関係なく、多くの細菌は熱に弱いため加熱が不十分な状態でお肉を食べると最悪、死にいたる場合もある。
肉の種類と病原体
- 牛肉、牛レバー(生食禁止)→腸管出血性O157・カンビロバクター等
- 豚肉、豚レバー等の内臓(生食禁止)→E型肝炎ウイルス・有鉤条虫(寄生虫)など
- 鶏肉、鶏レバー→カンピロバクター・サルモネラ等
- 野生動物の肉(シカ・イノシシ・クマ等)→E型肝炎ウイルス・旋毛虫・住肉胞子虫
このように、どの部位であってもウイルス・細菌・寄生虫となにかしら存在しているため食べ方を間違えれば、簡単に食中毒になります・・・
生肉・生焼け状態のお肉を触ったお箸は超危険!?
「バーベキュー」や「自分で焼く焼き肉店」などで、お肉にはしっかり火を通さないといけないことは、分かりました。ですが、もう一つ注意することがあります。
例えば、私が何度も行っている「すたみな太郎」という食べ放題のお店があります。(お肉意外にも、スイーツやお寿司など、さまざまなソウルフードが格安で全て食べ放題として提供されているまさにパラダイス。)
さて、この店の焼き肉をする際の注意書きに、「トングは生肉用」「トングは使い回さず1人1本」「中心部までしっかり焼く」「焼き上がった肉は新しいお皿へ」
と、生肉が摂食した物は徹底して他の物に近づけないように注意喚起がなされています。
お箸に限ったことではないですが・・・
そもそも焼けていない肉に触れた物は、細菌やウイルスなどに汚染されている可能性が高く、しっかりお肉や野菜を焼いたとしても、生肉で使ったお箸や食器などが混ざってしまっては意味がありません。
→口に入るその瞬間まで、「焼き肉対策」が必要ということです・・・
最後に
特にバーベキューは、「生焼け・・・」なんてことはよくありますよね。
また、複数人で焼いたり食べたりするため、「気がついたら、同じ割り箸を使い回していた・・・」なんてありますよね。
そして、使うまでお肉は低温にしておかないと、細菌の数が爆発的に増えていきます。
必要以上に怖がる必要はないですが、お肉は雑に扱っていいものではありません。
特に、バーベキューで張り切るパパさん。
以前、紹介した炭の話しと同じで、正しい知識がないと危険だったり、周りに迷惑をかけることになったり、果ては家族の命に関わることまであります。
お肉は、①しっかり火を通して②生肉用とは区別して③お肉は使うまで低温(冷やす)
これさえ守れば、品質に問題がない限りバーベキューでもどこでも、安心してお肉を食べることができます。
→炭の取り扱いについてはこちらの記事で紹介します。
参考
彩の国埼玉県
→https://www.pref.saitama.lg.jp/a0708/syokutyuudoku/sk-namakanetu.html
厚生労働省
→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html
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